組合のあゆみ
生活に欠かせない自転車
補助輪をはずし、初めて自転車に乗れたとき、何か大きな自由を手に入れたように感じた人は多いことでしょう。自転車は自分の力だけで、いつでも、どこへでも行くことができる乗り物です。いくら便利な時代になろうとも、人力で動かす自転車には自動車にはない魅力があるようです。しかし、日本に自転車が紹介されてからの歴史を見ると、やはり荷物などを運搬する重要な手段としての価値が一番大きかったようです。
愛知県自転車モーター商協同組合は、昭和22年4月9日に名古屋自転車リヤカー小売商業協同組合として設立されました。
設立された大きな目的に、自転車、リヤカーのタイヤなどの部品が配給物資に指定されていたことが挙げられます。消費者が修理のために自転車屋さんに出かけたとき、配給チケットがないと必要な部品が手に入らなかったのです。そのためには、自転車屋さんの方でも組織化されている必要があったのです。当時、自転車は、それだけ生活になくてはならない存在であったのです。
自動車社会の影響を受ける需要
その後、名古屋、尾張、三河にあった各組合が集まり、愛知県自転車リヤカー小売商業協同組合連合会を発足させます。昭和33年には、名古屋自転車リヤカー小売商業協同組合から「リヤカー」の文字を削除し、愛知県自転車モーター商協同組合へと発展させ、連合会は解散しました。
昭和34年はマイカー時代の開始といわれ、同44年には東名高速道路が全線開通したように、組合の変遷は自動車社会の変化に対応しています。しかも、このころは、自動車の普及につれて自転車の需要は減少傾向を示していました。ただし、ここでいう減少していった自転車は、いわゆる「実用車」といわれる荷物運搬用自転車です。
女性用、スポーツタイプなどで新たな需要を掘り起こす努力も続けられました。
販売だけでなく組み立て、修理も
組合加盟の自転車専門店は、自転車整備士の資格をもっていますが、この資格には自転車技士と安全整備士があります。このうちの安全整備士がチェックした自転車は、安全面で品質が保証されているということでTSマークを貼付し、万が一の事故などに対して保険が付いていて安心です。
自転車の専門店が他の小売業と大きく違うのは、単にものを販売するだけではなく、組み立てや修理も行うので安心して安全に乗れることです。
最近は排気ガスの出ないクリーンな乗り物として、また、交通渋滞を解消する手段としても見直されています。